JPG、PNG、GIF、HEIC、WebP…画像形式の特徴と使い分け

画像にはJPEG、PNG、GIFをはじめとするさまざまな形式があります。近年はHEIC、WebPといった新しい形式も広まってきました。本記事では画像形式を理解する上での重要なポイント(可逆圧縮/非可逆圧縮)とともにそれぞれの形式の特徴を解説します。適切な形式で保存する助けとなれば幸いです。

なぜさまざまな画像形式が存在するのか

画像のファイルサイズを小さくするためです。画像を適切に圧縮しないと、ストレージを圧迫したり、Webサイトの読み込みに時間がかかったりします。

ラスターファイル、ビットマップと呼ばれる画像は、数多くの細かい点から構成されています。例として、フルHDに相当する1920ピクセル×1080ピクセルの場合、1920×1080 = 2073600 ≒ 200万画素となります。それぞれの細かい点が光の三原色である赤・緑・青の色情報をもつことを考えると、膨大な情報量となることが想像できるでしょう。圧縮することで、サイズを数分の一~数十分の一に縮めることができます。

現在広く利用されている画像形式は1980~1990年代に登場しました。それから既に何十年も経た今日では、より圧縮効率が高く、新しい機能を持つ画像形式が普及してきています。本記事では主な形式をご紹介いたしますので、用途や目的に応じて使い分けてください。

可逆圧縮と非可逆圧縮

画像の圧縮形式は「可逆圧縮」と「非可逆圧縮」に大別されます。

可逆圧縮

「可逆圧縮」は画像の画質を落とさずに圧縮する形式です。ごく簡単なイメージとしては、「あああああいいいいうううええお」という情報を「あ5い4う3え2お」と表現することで情報を減らさずにサイズを小さくしています。実際のアルゴリズムはこれよりも遥かに複雑です。単純な画像ほど圧縮率が高く、写真のような複雑な写真では圧縮率が低い傾向があります。保存を繰り返しても画質が劣化しないため、編集中の画像への使用が向きます。可逆圧縮の主な形式はPNGとGIFです。WebPは可逆圧縮と非可逆圧縮の双方に対応しています。

非可逆圧縮

「非可逆圧縮」は人間の目ではわかりづらい細かな情報を削ぎ落として圧縮する形式です。写真のような複雑な画像に適しています。求める画質とファイルサイズに応じて圧縮率を選択できます。圧縮率を上げすぎるとノイズが目立ったり、ぼやけたりします。非可逆圧縮の主な形式はJPEGとHEICです。WebPは可逆圧縮と非可逆圧縮の双方に対応しています。

写真の圧縮率の比較


PNG(元画像)


GIF


JPEG 画質100


JPEG 画質70


JPEG 画質40


JPEG 画質10

画像形式ファイルサイズ圧縮率
非圧縮901KB
PNG590KB-34.5%
GIF140KB-84.5%
JPEG 画質100273KB-69.7%
JPEG 画質7099KB-89.0%
JPEG 画質4048KB-94.7%
JPEG 画質1025KB-97.2%

この写真ではPNGの圧縮率は半分に及ばず、GIFは色数が不足しているのが明らかです。写真には非可逆圧縮のJPEGが向いていることがわかります。JPEGは画質を落とすことでファイルサイズを1/10以下にすることができますが、圧縮率を上げるとノイズが目立つようになります。Webサイトなどの軽さが求められる場面では不快に感じられない画質を模索するのがポイントです。

シンプルなイラストの圧縮率の比較


PNG(元画像)


GIF


JPEG 画質100


JPEG 画質70


JPEG 画質40


JPEG 画質10



拡大してPNGとJPEG 画質10を比較

画像形式ファイルサイズ圧縮率
非圧縮1201KB
PNG24KB-98.0%
GIF13KB-98.9%
JPEG 画質100258KB-78.5%
JPEG 画質7070KB-94.2%
JPEG 画質4044KB-96.3%
JPEG 画質1021KB-98.3%

シンプルな画像はPNGやGIFといった可逆圧縮が向いています。JPEGは低画質になるほど輪郭周辺のノイズが目立ちます。また、かなり画質を落としても可逆圧縮に比べてファイルサイズが大きめです。

古い画像フォーマットと新しい画像フォーマット

広く使用されている画像形式のJPEG, PNG, GIFは、いずれも1980~1990年代に開発・発表されました。2000年前後にはJPEG 2000と呼ばれる新しい画像形式が発表されましたが、当時の非力なマシンには負担が大きいため普及は進みませんでした。2010年代になるとデスクトップ端末だけはなくモバイル端末の処理能力も大幅に向上したほか、Webサイトのレスポンス向上を求める気運が高まったため、より高度で高効率な画像形式を展開する基盤ができました。現在はHEIC、WebPといった従来よりも圧縮効率の高いアルゴリズムが徐々に普及してきています。

古い画像フォーマット
  • JPEG: 1992~
  • PNG: 1995~
  • GIF: 1987~
新しい画像フォーマット
  • HEIC: 2010s~
  • WebP: 2010~
古い画像フォーマットのメリット
  • 互換性が高く、様々なOS・ブラウザ・画像編集ソフトが対応しており、表示・編集・書き出しのいずれの面でも扱いやすい。
  • 計算負荷が小さく、非力なデバイスでも利用できる。
新しい画像フォーマットのメリット
  • 従来形式よりも圧縮効率が高く、小さなファイルサイズで同等画質を実現できる。
  • 変更履歴、ライブフォト(いずれもHEIC)など、従来にはない機能を利用できる。

画像フォーマットの比較

名称可逆/非可逆特徴
JPEG非可逆写真などで古くから幅広く使用されている形式です。デジタルカメラの画像形式としても一般的です。
PNG可逆GIFのデメリットを克服するために生まれた非可逆形式です。24ビット(16,777,216色)フルカラーや透明度に対応しています。
GIF可逆アニメーションで愛用される形式です。色数が8ビット(256色)に制限されています。
HEIC非可逆iOS 11以降のデフォルト形式で、Apple製品との相性が良好です。JPEGよりも高効率であり、編集履歴やライブフォトなどの従来にはない機能を備えています。反面、Apple製品以外では扱いづらく、ブラウザでは扱えないと考えたほうが無難です。互換性の問題が生じた場合はJPEGに変換してください。
WebP可逆/非可逆Webでの利用を想定して開発された、JPEGやPNGよりも圧縮効率の高い形式です。比較的新しいブラウザでサポートされています。高速化目的のためサーバーサイドの機能でWebPに自動変換され、知らぬ間に利用している場合があります。

参考文献

ラスターファイルについて

Overview of JPEG 1

Overview of JPEG 2000

ウェブ用の画像形式

Can I use …

まとめ

JPEGは写真向きの非可逆圧縮、PNGは単純なイラストでは圧縮率が高くなる可逆圧縮です。GIFは可逆圧縮ですが、色数が少なく、アニメーションに対応するという特徴があります。Apple製品では高効率な非可逆形式、HEICが便利です。Webサイトに使用する場合は、比較的新しいブラウザでサポートされているWebPが軽量化に役立ちます。